JP−A−A−8 中級編 Aグループ 旧約聖書概論 (第8) 十二部族と長子の権利
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聖書箇所(創世記29章〜 )
A
ヤコブに12人の子どもが生まれて、その子孫が増え、それぞれが十二部族と呼ばれるようになりました。
B
とはいっても実際にはヨセフの子のマナセとエフライムがそれぞれ1部族と数えられているので実際には最大で14部族の名が聖書に登場します。それでも十二という数字を用いるのは、それが神の完全数だからです。
C
ですから、常に全ての部族を指していると思って下さい。たとえば黙示録7章ではエフライとダンが省かれています。長子の権利を受け継いだのはエフライムなのに省かれているの不思議に見えますが、ことことからも、何が省かれているかはあまり意味がないことがわかります。
D
ヤコブは二人の妻を持っておりラケルはヤコブのお気に入りで、レアは嫌われていました。もっとも、ヤコブにとっては望んだ結婚ではなかったので仕方が無いと思いますが。
そのようなラバンの人間的な行動によって妻となったレアでしたが、神はレアを祝福し12人の内6人を生みました。(ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン)それでも、ラケルの子であるヨセフが長子となったのを見るときに神はヤコブの意思をも覚えておられたことを感じさせます。
E
■ルベン族
ルベンは長子でしたが、罪を犯したために(創世記49:4)長子の権利を失ってしまいました。
このことは、長子が常に攻撃にさらされていることの表れです。人類最初に女から誕生したカインしかりです。サタンは神の計画を妨げるために常に長子を攻撃します。
F
(第1歴代誌5:1 イスラエルの長子ルベンの子孫、彼は長子であったが、父の寝床を汚したことによりその長子の権利はイスラエルの子ヨセフの子に与えられた。系図の記載は長子の権利に従って行なうものではない。
G
■レビ族
レビ族は神の礼拝奉仕に携わる部族です。祭司はすべてレビ族の中のアロンの家系から出ています。旧約の律法ではイスラエルの全ての子達の十分の一の捧げものとしての存在なのです。
H
民数記3:12 「わたしはイスラエル人のうちで最初に生まれたすべての初子の代わりに、今これからイスラエル人の中からレビ人を取ることにした。レビ人はわたしのものである。3:13 初子はすべてわたしのものだからである。エジプトの国でわたしがすべての初子を打ち殺した日に、わたしは、人間から始めて家畜に至るまでイスラエルのうちのすべての初子をわたしのものとして聖別した。彼らはわたしのものである。・・・
I
また、そのイスラエルですが、イスラエルは全ての人類の初子であると聖書に書いてあります。
J
出エジプト4:22 そのとき、あなたはパロに言わなければならない。主はこう仰せられる。『イスラエルはわたしの子、わたしの初子である。4:23 そこでわたしはあなたに言う。わたしの子を行かせて、わたしに仕えさせよ。もし、あなたが拒んで彼を行かせないなら、見よ、わたしはあなたの子、あなたの初子を殺す。』」
K
つまり、「全人類 > イスラエル > レビ人 > 祭司」という図式が出来上がります。
そのように祭司とは特別な存在であることがわかるなら、神が私達を祭司とされたことがどれだけ特別なことかが理解できることでしょう。
L
(第1ペテロ2:9) しかし、あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなたがたを、やみの中から、ご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方のすばらしいみわざを、あなたがたが宣べ伝えるためなのです。
M
■ユダ族
ユダ族はキリストにつながる家系としてあまりにも有名です。ユダはベニヤミンの命を保証し(創世記43:9)彼の身代わりとなりました。(創世記44:33)。これは私たちの命をあがないだしたイエス様の象徴です。
N
イスラエルの最初の王はベニヤミン族のサウロでしたが彼は失敗してしまいました。彼の失敗を補い王とされたのがユダ族のダビデであるのは興味深いことです。
O
神は彼に永遠の王権を約束されました。
(創世記49:10) 王権はユダを離れず、統治者の杖はその足の間を離れることはない。ついにはシロが来て、国々の民は彼に従う。
P
(第1歴代誌28:4)・・イスラエルの神、主は、私の父の全家から私を選び、とこしえにイスラエルを治める王としてくださった。ユダの中から君たる者を選ばれたからである。私の父の家はユダの家に属している。・・・
Q
ユダ族の直系が王となることに対する主の熱心は聖書のいたるところに現れています。
(1)抹殺の危機に王の子のエホアハズ(2歴代21:17)、 ヨアシュ(2歴代22:11)ただ一人が救い出されました。
R
(2)ソロモン以後に北イスラエルと南ユダに王国は分裂しました。彼らはそれぞれ北はアッシリア、南はバビロニアに滅ぼされました。南ユダがアッシリアに滅ぼされなかったのは神の守りによります。なぜならアッシリアはイスラエル人を他の国にちらし、他の民族をイスラエルに住まわせる(第2列王17:23-24)政策を取っていたからです。サマリヤ人とはその雑婚の子孫です。逆にバビロンはユダヤ人を丸ごと捕囚にしましたが、彼らは純潔を保ち、ユダ族直系の家系を守ることができたのです。
S
■ エフライム
エフライム族はそれほど注目を受ける部族ではありませんが実際には3つの意味で非常に重要な部族です。なぜなら12部族の長子であるヨセフの二人の子どもの内で長子の権利を受け継いだものだからです。
(21)
(1)エフライムはマナセの弟でしたが、神の摂理によって長子の権利を受け取りました。実際的にはヤコブ(創世記25:23)、ヨセフ(第1歴代誌5章5:1〜2)、エフライム(創世記48:17〜20)と三代に渡って弟が長子の権利を得ているのです。いわばヤコブの養子として(創世記48:18)12部族のひとつに加えられました。
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これは不思議な神の選びによるものです。(ローマ9:12〜15)多くの人が自分はふさわしくない、自分に神の計画はない、祝福はないと考えていますが選びゆえにあなたも長子の権利を持っているのです。
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ヘブル12:23〜24)に「また、天に登録されている長子たちの教会、万民の審判者である神、全うされた義人たちの霊・・・」とあるように、キリストによって救われ教会に繋がる者たちはみな長子とされているのです。
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そして長子には(申命記21:17)にあるように、長子には2倍のわけまえがあります。
エリヤはキリストの雛形であり、エリシャは教会の雛形です。その働きが引き継がれたときに、エリシャには2倍の油注ぎが与えられました。(第2列王記2:9)そのせいかエリシャが死者をよみがえらせた人の数はエリヤの2倍でした。(第2列王4:34)二人目をよみがえらせたのはエリシャの骨でした。(第2列王13:21)
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(2)ヌンの子ヨシュアがこの部族です。ヨシュアはヘブライ語で「イェホシゥア」ですが、その短縮形が「イエシュア」すなわちイエス様であることを知るならエフライム族の重要性がわかります。
ヨシュアは民を約束の地に導くメシアの雛形なのです。
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(3)エフライムの母はエジプト人です。異邦人の母を持つ彼は異邦人を代表する存在です。世の終わり近くにユダヤ人と異邦人が「新しいひとりの人」(エペソ2:11-22)として父のみものとに近づくさまが描かれています。異邦人は二級市民ではありません。ユダヤ人クリスチャンと同様に長子の祝福を持っているのです。
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(エペソ2:14 キリストこそ私たちの平和であり、二つのものを一つにし、隔ての壁を打ちこわし、(中略)二つのものをご自身において新しいひとりの人に造り上げて(中略)2:18 私たちは、このキリストによって、両者ともに一つの御霊において、父のみもとに近づくことができるのです。 2:19 こういうわけで、あなたがたは、もはや他国人でも寄留者でもなく、今は聖徒たちと同じ国民であり、神の家族なのです。