JP−A−A33  中級編 旧約聖書概論 Aグループ  (33) 終末とエゼキエル書の預言
19/03/221/2  ● ■・■

旧約聖書の預言は第一にはその時代のその対象となる人たちの為に書かれたものです。しかし、多くの場合、その預言は、それと同時に将来のこと、特に終末のことについて適応することができます。
A
旧約聖書の言葉は直接的にはイスラエルに対して語られたものですが、霊的な意味でクリスチャン全員に対する言葉でもあります。その辺りの見極めも必要です。
B
エゼキエル書に書かれた預言の多くは今の時代の終わりから千年王国にかけてです。ですから、学びを進める前に、終末のシナリオについてみていきましょう。ただしここでは不確かな議論されている事柄やその時期についてはあいまいに説明してあります。(用語解説:「今の時代」=キリストの再臨までの時代。)
C
◆終末のシナリオ
御言葉の解説を進める前に終末におけるシナリオを説明する必要があります。
大きな流れとしては次のようなものです。
[1] 今の時代があとしばらく続いた後に患難の時代が起こります。(マタ24:21) (黙示3:10)
[2] 今の時代としての最終戦争が起こります。(ゼカリヤ12:〜14:)
[3] キリストが再臨されます。 (1テサ4:16) (黙示19:11) (ただし再臨の時期は諸説があります)
[4] 信者達は、生きたまま天に引き上げられ、新しい肉体が与えられます。(1テサ4:17) (マタ24:40)
  キリストを信じて眠っている人たちも蘇り新しい肉体とともに天に引き上げられます。(1テサ4:16)
[5] 患難期が終ります。(キリストの再臨と同時に今の世界が終るという説もあります。)
 サタンが縛られ人々を惑わすことがなくなります。(黙示20:2)
D
[6] 千年王国と呼ばれる1000年間キリストが統治される時代が続きます。
  天に引き上げられた信者達は(おそらく)新しい肉体を伴って千年王国で暮らします。(聖書に記述なし)
  特にキリストのゆえに殉教した人たちはキリストとともに王として地上を治めます。(黙示20:4)
  この時代では人の寿命は木の寿命のように長くなり、人々は平和に過ごします。(イザ65:22)(イザ11:8)
  患難期まで生き残った人たちは(おそらく)千年王国で生活します。(聖書に記述なし)
[7] 千年王国が終るころに一時的にサタンは解き放たれ、人々を惑わします。(黙示20:7)
[8] 惑わされたゴグがイスラエルに攻めに来る。(エゼキエル38:)(黙示20:9)
[9] 彼らは返り討ちにあい、サタンは火と硫黄の池に投げ込まれます。(黙示20:9) (エゼキエル38:22)
[10] キリストを信じないで死んだ人々が蘇り裁きがなされます。(黙示20:12)
[11] 新しいエルサレムが天から下ってきます。(黙示21:1)
  その新しい世界は海も無く夜がないほどまったく新しい別物の世界です。(黙示21:)
E
◆◆預言の記述は霊的な意味で今の私達に、実際的な意味で(終末の時代&千年王国で)ユダヤ人に適応される。
F
◆民の霊的救いとイスラエルの回復の預言(36章〜)
36章はイスラエルの回復のための重要な御言葉です。ここに書かれていることは次のような事柄です。[1]すべての国々から民が集められること(36:24)。[2]そのときに「石の心の代わりに肉の心が与えられる」という表現を用いてユダヤ人集団的救いが起こる(36:26)。[3]彼らは先祖に与えられた地に住む(36:28)。
G
彼らの救いについてはエレミヤ31章31節〜の御言葉にもあります。
31:33 彼らの時代の後に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこうだ。・・・わたしはわたしの律法を彼らの中に置き、彼らの心にこれを書きしるす。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。 31:34 ・・・人々はもはや、『主を知れ。』と言って、おのおの互いに教えない。それは、彼らがみな、身分の低い者から高い者まで、わたしを知るからだ。・・・わたしは彼らの咎を赦し、彼らの罪を二度と思い出さないからだ。」
H
◆◆千年王国の中で成就される預言
この36章〜39節をはじめとして、旧約聖書のイスラエルの回復の預言は20世紀後半〜キリストの再臨、そして千年王国にかけて起こる事です。その辺を読み間違えて再臨までにすべてのことが必ず起こり、預言が成就しなければならないと勘違いすると、今、私たちが何を支持し何を拒否するのかの判断を誤ってしまいます。
I
たとえば創世記15:18でアブラハムに与えられた約束はシリア、イラクの大部分とサウジアラビアの北部、そしてシナイ半島ですが、それら全部がイスラエルのものとなるようなことは、今の時代には決して起こらないでしょう。「一人残らずすべてのユダヤ人が帰還する(39:28)」という記述も同様です。
J
多くの人はエゼキエル書の記述が今の時代だけでなく、千年王国も表しているという根拠は、エゼキエル書38章〜の記述は黙示録20章と整合が(ある程度)取れているので今の時代ではないことがわかります。
K
旧約聖書に書かれた千年王国を現す記述はゼカリヤ14章16節です。国々が毎年仮庵を祝う記述がそうです。
M

このようなことを書いているのは、旧約の預言の全てが今の時代に起こらねばならないと考えて、人間の力でそれを起こそうとする人がいるからです。たとえば1970年代からの米ソの核開発競争をあおったのもクリスチャンです。第2ペテロ3:10に核戦争を思わせる記述があるからです。
N
たとえば、イスラエルの建国やユダヤ人の帰還についても、確かに聖書に書かれていますが、その預言を実現させるためだったらどんなことをしてもよいというわけではありません。
Q
私達が知るべき原則は、人類の歴史の大筋は決まっているが詳細は決まっていないということです。また、たとえ人が間違いを犯したとしても、それを通じて神様が御心をなしてくださることも知る必要があります。
◆                                              S
聖書の記述の完全な成就は千年王国まで待たねばならないといいましたが、それでも、その前味として、また預言的な行動として今の時代にもなされていく主の御業というものがあります。
それはたとえばユダヤ人の帰還です。完全な帰還の時は今ではありませんが、ある程度は御心なのです。
(21)
◆ 
テルアビブ大学の歴史学者のショロモ・サンド氏は、パレスチナ人は西暦70年のイスラエル滅亡時にその地に残された人達がイスラム化したものであると語っています。そうであるなら、パレスチナ人の中にもアブラハムの子孫、ヤコブの子孫が含まれているのです。
少なくとも、日本人の先祖がユダヤ人だという説よりは、ヤコブの血が濃いはずです。
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一般的にはエゼキエル書37章の「枯れた骨」が復活することはユダヤ人がイエスキリストを信じて救われることであると考えられています。
しかし、それとは別に、私が最近感じている解釈は、パレスチナ人がキリストを信じて救われる事の描写です。そして、キリストを信じたユダヤ人と共に「一本の杖」(37:16-22)となるのです。もしパレスチナ人の中にもユダヤ人の血を引き継いでいる人がいるとするなら、その救いは神が熱心に願っていることです。

◆是正し全てを回復させる神
(使徒3章20節〜21節)3:20 そうして、主の御前から回復の時が来て、あなたがたのためにあらかじめキリストとして定められていたイエスを、主は遣わしてくださいます。3:21 このイエスは、神が昔からその聖なる預言者たちの口を通して語られた、万物が改まる時まで、天にとどまっていなければなりません。

この御言葉にあるように、イエス様はやがて再臨されますがその時期は、回復の時、万物が改まる時を経てからです。それまで、後回しにされていたこと。見過ごされていたことが是正されるからです。

人類の歴史は決まっていませんが、どうしても超えてはならないという限度を神が持っていて、人がそれを超えそうになると、それが是正され、御心がなされ預言が成就するのです。

◆千年王国の意義
しかし、それでも、どうしても矛盾が出る場合もあるので、それを是正する時を神様が設けたように思います。それが千年王国です。千年王国に関する預言は多くはありません。なぜなら、それは是正の場なので、白紙だからです。